2024年02月16日 |
東大「極値統計学でモータータンパク質評価」 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東京大学 |
東京大学物性研究所の林久美子教授と東北大学の研究チームは、細胞内の物資輸送を担うモータータンパク質であるキネシンとダイニンにおける力学性質の違いを解明したと発表した。 これまで細胞力学的性質の計測には、光ピンセットという細胞に対し負荷の大きい手法を用いていたが、負荷に敏感な特性に対しては、自然界と比較し大きくデータが変容するという課題があった。今回、生きた線虫個体に対し、細胞に負荷を加えない蛍光イメージングを用いて、自然界に近い環境で輸送速度を計測し、極値統計解析を行った。その結果、キネシンは輸送速度に上限があるが、ダイニンは速度の上限が存在しない別の力学性質を持っていることがわかった。 細胞内の物流を担うモータータンパク質の変異は物流障害を引き起こし、ヒト疾患とも深く関連する。今回開発した極値統計学による解析を応用することで、モータータンパク質の輸送異常に関連するヒト神経疾患の分子メカニズム解明に役立つことが期待される。 同成果は、英国科学雑誌「Communications Physics」の2月13日付オンライン版に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/02/press20240214-01-Motor.html |