2024年02月19日 |
九大、マダニの血液を固まらなくする成分解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
九州大学大学院 農学研究院の角田佳充教授らの研究グループは、マダニの持つ血液凝固阻害タンパク質の活性化機構の詳細をX線結晶構造解析によって明らかにしたと発表した。 マダニは、ヒトなどら吸血して栄養を得ているが、吸血時に病原性ウイルスをヒトに感染させるため、対策が求められている。吸血時にヒトは、血液を固まらせることで、その吸血を止めようとするが、マダニはマダニンというタンパク質で血液を固まらなくする。 この血液凝固阻害活性は、2カ所のチロシン残基が硫酸化されることで約1000倍に向上する。この活性化は、マダニが持つタンパク質チロシン硫酸転移酵素(TPST)によって行われる。だが、詳しいメカニズムは解っていなかった。 マダニの酵素TPSTは、2量体の界面に2分子のマダニンタンパク質を結合し、1カ所目のチロシン残基を硫酸化すると、2カ所目のチロシン残基が硫酸化されやすくなる仕組を持つことで、2カ所あるチロシン残基を効率よく硫酸化していることがわかった。 7 今回の研究成果は、マダニに対する有効な薬剤の開発と、医薬品として重要な新しいタイプの血液凝固阻害剤開発の推進に重要と考えられる。 同研究成果は、国際学術誌「The Journal of Biological Chemistry」オンライン版(2月14日)に掲載された。 ◆マダニ :身近な塵性害虫である屋内塵性ダニ類やイエダニと同じダニの一種で、人を含む動物から吸血する。マダニが媒介する病原性ウイルスは12種類以上知られており、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの重篤の症状を引き起こす例もある。 (詳細) https://www.kyushu-u.ac.jp/f/56110/24_0216_01.pdf |