2024年02月29日
AGCと産総研、グリーン水素低コスト化へ
【カテゴリー】:経営
【関連企業・団体】:AGC

 AGCと産総研グループおよび(株)AIST Solutions)は29日、2024年 4月から高圧環境におけるPEM型水電解技術の特性解明を目的とした共同研究を開始すると発表した。高圧環境下で製造した水素は含有水分量が少なくなり、乾燥設備の小型化や昇圧設備の削減など投資コストの低下につながるため、本研究はカーボンニュートラル実現に向けた、水素普及への貢献が期待される。

 PEM型水電解は、太陽光発電などの発電量の変動が大きい再生可能エネルギーの活用に適した技術で、グリーン水素 製造に必要な技術として注目されている。グリーン水素の製造・供給は世界各国で計画されており、燃料電池車など社会インフラにおけるグリーン水素利用の拡大には、水素製造コストの低減が課題となる。

 その解決方法の一つが高圧で水素を製造する水電解技術で、欧米では高圧環境下(3~5MPa)での水電解装置運転が主流となっている。一方、日本では高圧ガス保安法による高い安全基準が定められていることなどから、結果として1MPa以上の高圧で水素製造装置の性能を評価できる公的な設備がないことが課題となっている。

 今回、共同研究にあたっては、産総研福島再生可能エネルギー研究所(以下 FREA)に実験評価設備を新設し、今年4 月から実験開始の予定だ。AGCは、今回実験に用いる水素製造用フッ素系イオン交換膜FORBLUE・ Sシリーズをはじめとした電解膜に関する事業に 1975 年から取り組んでおり、これまで蓄積した幅広い知見を活用し、高圧環境下での基礎的な膜材料特性の把握と、高圧水電解用膜設計技術の確立を目指す。 


<ニュースリリース参照>
https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1709187209.pdf