2024年03月05日
京大「脱炭素/水素・アンモニア発電の貢献は限定的」
【カテゴリー】:行政/団体
【関連企業・団体】:京都大学

 「脱炭素社会における水素・アンモニア発電の貢献は限定的」とする試算結果を京都大学工学部の藤森真一郎教授らのグループが5日発表した。
 
 石炭・ガス等の火力発電設備から出るCO2の排出削減は、脱炭素化に向けた取り組みの柱の一つだが、再生可能エネルギー等から製造された水素・アンモニアを発電に活用することは、火力発電からの排出削減に寄与する可能性はあるが、世界全体の脱炭素化にどの程度貢献できるかは明らかではなかった。

 京大都市環境工学専攻の大城賢 助教、藤森真一郎教授らは、世界全域を対象としたエネルギーシミュレーションモデルを用い、脱炭素化に向けた水素・アンモニア発電の役割について分析した。その結果、水素・アンモニア発電が世界の発電電力量に占める割合は、最大でも1%程度に留まることが示された。
 
 水素・アンモニアの費用が大きく低下すれば、火力発電設備の約半数が水素混焼付きとなる可能性がある。しかし、年間を通じた稼働時間は太陽光・風力発電の出力が低下する、ごく限られた時間に留まることが分かった。また、発電部門での水素・アンモニアの活用は限定的であった一方、航空・船舶用燃料への活用は比較的進みやすいことが分かった。同成果は3月4日に国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。

(詳細)
https://www.t.kyoto-u.ac.jp/ja/research/topics/20240304