2024年03月12日
九大、黄麹菌細胞のmRNAメカニズム世界初解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 九州大学大学院 発酵化学研究室の樋口裕次郎准教授らの研究グループは11日、日本酒や味噌、醤油などの生産に必要な微生物、黄麹菌(きこうじきん)が有する主要なでんぷん分解酵素であるグルコアミラーゼの遺伝子であるglaAのmRNAを、生きた細胞内で可視化することに世界で初めて成功したと発表した。

 さらに、glaA mRNAが黄麹菌細胞内の特定の核で生成されていくことや、環境変化に応じて細胞内での存在位置や量が変化することを見出した。

 今回の研究成果は、黄麹菌細胞内でどのように有用酵素が多量に生産できるのかという分子メカニズムの一端を明らかにした。こうした知見の蓄積により、将来的にはより一層有用物質を生産できる黄麹菌の分子育種が可能になると期待される。
 本研究成果は国際学術誌「Microbiological Research」(2月23日)にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆黄麹菌 :カビ(糸状菌)の1種であり、学名はAspergillus oryzae。日本で発酵や醸造産業に広く利用される有用な微生物。でんぷんを分解するアミラーゼやタンパク質を分解するプロテアーゼなど、産業上有用な酵素を安全かつ多量に生産することができる。
◆glaA :黄麹菌が有する遺伝子の1つで、でんぷんを分解しグルコースを生成する酵素であるグルコアミラーゼをコードしている。

ニュースリリース参照
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1057