2024年03月15日
東大「個体中で形が変わる金属分子」発見
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 東京大学大学院 新領域創成科学研究科の鬼頭俊介助教らの研究グループは15日、「固体中で形が変わる金属分子」を世界で初めて発見したと発表した。分子内のイオン間距離が約2%変化するにもかかわらず、キラルな分子配列によって、結晶全体は0.0001%精度で計測しても歪んでいないことが分かった。
 
 今後、キラルな秩序に起因した物理現象の発現や、センサーやスイッチングデバイスなどの応用材料開発につながることが期待される。
 
 研究グループは、室温でニオブ(Nb)イオンが正四面体型の分子を形成していることに着目し、大型放射光施設(SPring-8)を用いてX線回折実験を行った。その結果、Nbイオンがつくる正四面体分子が低温で変形して、正三角形分子と孤立イオンに分かれる現象を発見した。さらに、正三角形分子が結晶の中で規則的に配列することで、鏡に映らないと元に戻らないキラルな状態になり、分子内のイオン間距離は約2%変化するにもかかわらず、結晶全体は0.0001%の精度で計測しても歪んでいないことが分かった。このような結晶全体が歪まない金属分子の変形は前例がない。

 今回研究成果は、キラルな秩序に起因した物理現象の発現や、センサーやスイッチングデバイスなどの応用材料開発につながると期待される。
同研究成果はアメリカ化学会誌「Chemistry of Materials」(3月11日付)にオンライン掲載された。