2024年03月28日 |
東北大、細胞運動のアクセル役酵素新発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学 学際科学フロンティア研究所の松林英明助教らは27日、PI3K(ホスホイノシトール3-キナーゼ)のアミノ酸配列の中に、従来知られていなかったAP2結合配列を発見し、このAP2結合配列が、PI3K本来の酵素活性とは別に、細胞膜を細胞内側へ取り込む働き(エンドサイトーシス)を誘発することを明らかにしたと発表した。 細胞運動のアクセルとなる酵素PI3Kにブレーキ機構も内蔵されていることを解明した。 PI3Kは、細胞の運動や増殖、がん化などに関わる重要な酵素で、抗がん剤のターゲットとなるなど医学的にも重要な分子となる。 さらにAP2と結合できないように改変したPI3Kは、細胞をより速く運動させることから、PI3KとAP2との結合が細胞運動のブレーキとして働くことを示した。これまでPI3Kは、その酵素活性によって細胞運動のアクセルとして機能すると考えられてきたが、今回、PI3Kには、AP2結合配列を介したブレーキ機構も内蔵されていることが分かった。PI3Kの新たな制御機構が明らかになったことで、PI3Kが関わる疾患の機序解明や、それらの治療薬開発のための知見となることが期待される。 同研究成果は、オンライン科学誌「Nature Communications」(3月23日付)で公開さた。 <用語の解説> ◆AP2:AP2複合体はエンドサイトーシスにおける中心的なアダプター分子の一つで、細胞内に取り込まれる細胞膜上のタンパク質のモチーフを認識し、クラスリンと呼ばれるタンパク質を結びつける働きがある。クラスリンは、取り込まれる細胞膜をつつむ包装材のような役割を果たし、クラスリンに囲まれた小胞が「荷物」として細胞内部へと運ばれる。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press0327_03web_cell.pdf |