2024年03月28日 |
北大、グリーンランドでPM2.5 高濃度化 |
【カテゴリー】:環境/安全 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学 北極域研究センターの安成哲平准教授らの研究グループは28日、北極域でもPM2.5濃度が増加していることが確認されたととの研究結果を発表した。 安成教授らは、国連による持続可能な開発目標(SDGs)の「誰一人取り残さない」という方針を満たすため、北極域の住民にとっても健康的な大気の質を維持することが不可欠と考え、北極域のグリーンランド北西部のカナックで初めて PM2.5の観測を2022年7月20日~8月13日に実施した。 観測期間中に、複数回の PM2.5濃度の増加が観測され、8月8日からは比較的高い濃度が続いた。現地の解析データを使った複合的な分析から、この期間中、遠方からの越境大気汚染の影響が少ないと判断できたため、8月8日以降の持続的な高濃度 PM2.5 は、カナックの野外廃棄物焼却によるものと特定された。 さらに、その際の PM2.5の粒子の振る舞いについて NOAA HYSPLIT で拡散計算を行ったところ、バフィン湾のような近隣湾などに野外廃棄物焼却からの粒子が沈着している可能性も示唆された。現地当局への聞き取りから、2012年から22年まで焼却施設は稼働していないこと、野外で焼却が行われていたことが分かった。北極域の住民居住地で大気環境を長期継続して測定することは、今後大気環境を確保していく上で必須となる。 同研究成果は、2024年3月26日公開の「 Atmospheric Science Letters 」誌に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/240328_pr.pdf |