2024年04月08日
東北大、製造容易性設計コンピュータ開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学電気通信研究所の深見俊輔教授らは5日、米国カリフォルニア大学サンタバーバラ校と共同で、確率的なアルゴリズムの実行に適し、製造容易性にも優れた近未来版の確率論的コンピュータを開発し、その動作を検証したと発表した。自然の熱で確率的に揺らぐスピン素子が生成する物理乱数で疑似乱数生成半導体回路を駆動することで、優れた計算性能が得られることを確認した。
 
 加えて、現行の半導体回路で確率的な計算を行う場合と比べて4桁程度の小面積化と、3桁程度の省エネ化がもたらされることを明らかにした。

 昨今、人工知能や機械学習では、確率的なアルゴリズムが様々な形で利用されている。一方でその演算自体は物理的には決定論的に動作する半導体回路で実行されており、ソフトとハードに不整合がある。人工知能や機械学習による社会変革が進展する中、この不整合を解消して更なる高度化、消費エネルギーの大幅な低減を実現することが期待されている。

 今回開発された近未来版の半導体・スピン融合確率論的コンピュータは、現行の人工知能、機械学習向け半導体回路の課題を克服するものとなる。今後さらに研究開発が進み、計算性能と省エネ性に優れたスピントロニクス確率論的コンピュータの先陣に立って社会実装されていくことが期待される。

本研究成果は3月27付英国科学誌「Nature Communications」に掲載された。

<用語の解説>
◆決定論的、確率論的 :現在のコンピュータによる演算では、入力情報に対して出力情報が一意に決まる。このような演算の仕組みを「決定論的」演算と言う。それに対して出力を一意に決めず、統計的な手法で決定する演算の仕組みを「確率論的」演算と言う。
 
 (詳細)
 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press202404045_01_com.pdf