2024年04月12日

三菱ケミ、独自設計部材が月面探査車に採用

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三菱ケミカルグループは12日、コンプライアントメカニズムを適用して設計した樹脂部材が宇宙開発ベンチャーが開発中の「月面探査車 YAOKI 」に採用されると発表した。 　YAOKI は、ロボット・宇宙開発ベンチャーの（株）ダイモン（本社：東京都大田区、中島紳一郎社長）が開発中の月面探査車で、2024年中に民間企業として世界初となる月面探査の実現を目指している。 　コンプライアントメカニズムとは、弾性を持つ素材で製品を一体的に成形することで、力や運動をしなやかに伝達し、機能を発現させる設計概念。剛体パーツにネジやバネなどの可動パーツを組み合わせて動きを実現する従来の組み立て成形品と比較し、動作正確性の向上、パーツ数削減、メンテナンスフリー化、静音化、モノマテリアル化によるリサイクル性の向上などの特長をもった部材設計が可能となる。 　 　三菱ケミカルグループは、総合化学メーカーの強みである素材知見に構造設計・最適化シミュレーション技術を融合した新たなアプローチとして、コンプライアントメカニズムを活用した製品開発を推進してきた。 　ダイモンとは、YAOKIの開発にあたり炭素繊維強化プラスチック部材の提供や技術支援を行う内容のパートナーシップ契約を締結済み。今回設計した部材は、走行時に車体を安定させる役目があり、落下時等の耐衝撃性が必要とされながら、輸送コストの点で重量増加につながる高剛性設計ができないという課題があった。 　そこで、コンプライアントメカニズムの概念を取り入れた設計を行い、素材から構造を見直すことで、重量増加を抑えつつも従来品と比較して耐衝撃性が著しく向上したモデルの設計に成功した。 　さらに、同社グループで保有するFIM (Freedom Injection Molding技術により、スーパーエンプラを用いた射出一体成形を実現した。 　 ＜用語の解説＞ ◆FIM (Freedom Injection Molding技術　：3Dプリンタによりレジン型を造形し、その型に樹脂を射出したのち、レジン型を溶解除去して製品を得る成形方法。 ニュースリリース https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1712887627.pdf