2024年04月16日
東大・産総研、新規胃がん発生メカニズム解明
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 東京大学消化器内科の藤城光弘教授と産総研細胞分子工学研究グループは15日、新規胃がん発生メカニズムを解明したと発表した。
 近年胃がんの全ゲノム解析の結果が報告され、MUC6(独自に作成した粘液・ムチンの一種)遺伝子異変が胃がんの10%程度で見られた。MUC6遺伝子異変を有する胃がんは治療抵抗性を示しやすく、予後不良であることがこれまで報告されてきたが、胃がん発生への関与は不明とされてきた。

<発表のポイント>
◆胃のムチン(粘液)産生に関わるMUC6遺伝子の変異は胃癌の10%程度で見られるが、どのように発癌と関わるかは不明だった。本研究では、MUC6遺伝子変異によるMUC6喪失がゴルジ体ストレスを介して癌化を引き起こすという、新しい胃癌発生メカニズムを証明した。
◆MUC6 遺伝子変異を伴う胃癌ではマンノースという異常な糖鎖が高発現することを発見し、マンノースに強く結合するバナナ由来の薬物複合体を用いた新規治療薬を開発、その治療効果を実験系で確認した。
◆ムチン遺伝子変異の機能やゴルジ体ストレスとの関連、さらには異常糖鎖に着目した新規薬物複合体など、幅広い分野にわたって新規性の高い重要な成果が含まれており、バナナ由来化合物の実臨床への応用の可能性も期待される。

ニュースリリース参照
https://www.h.u-tokyo.ac.jp/press/__icsFiles/afieldfile/2024/04/11/release_20240411.pdf