2024年04月18日
北大、人から自然環境へ薬剤耐性菌が拡散
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学獣医学研究院の佐藤豊孝准教授らの研究グループは17日、人で問題となる薬剤耐性大腸菌株クローンのST131が、国内の野生動物(アライグマ、タヌキ、キツネ、シカ)や河川・湖といった水系環境から分離されることを明らかにしたと発表した。
 
 世界中で問題となっている薬剤耐性菌のパンデミッククローンが自然界にも拡散しているとした。
 全ゲノム解析の結果、野生動物や河川・湖から分離されたST131の一部は人から分離されるST131と類似性が高く、人社会から自然環境へのST131の拡散を示唆した。

 薬剤耐性菌感染症の増加や多剤耐性化は世界各国共通の問題で、2050年には世界中で年間1000万人が同感染症で死亡すると推定されている。ST131は、細菌感染症治療薬として臨床現場で使用されるフルオロキノロン系抗菌薬に耐性を示し、他の系統の抗菌薬にも高頻度に耐性を獲得している大腸菌クローン。世界各国で問題となっていることから、「パンデミッククローン」などと呼ばれている。

 今回の研究結果から、世界中で問題となっている薬剤耐性菌の抑制には、人-動物-環境を横断したOne Health Approachに基づく対策がより重要と考えられる。
 研究成果は、3月23日公開の「One Health」誌に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/240417_pr2.pdf