2024年04月22日 |
北大、ハツカネズミの進化の歴史を解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学 情報科学研究院の長田直樹准教授らの研究グループはこのほど、日本列島や中国などの東アジア地域から集められた野生ハツカネズミの全ゲノム配列を解読し、東アジアの野生ハツカネズミの遺伝的多様性とその進化の歴史を明らかにしたと発表した。 世界中に広がるハツカネズミは、南アジア周辺に起源をもち、三つの主要な亜種に分類される。現在はそれぞれ別の経路を通って世界中に拡散し、その後、亜種集団同士の二次的接触を起している。 今回の解析では、日本列島及び中国南部で広く亜種間雑種が形成されていることが示された。また、二つの亜種が異所的に分布しているにもかかわらず、一方の亜種がもつ特定の型のY染色体が東アジア全体に急速に広まったことが示された。そのメカニズムとして、X染色体とY染色体の対立による性比のゆがみが原因という仮説が立てられた。さらに、日本のハツカネズミにおける遺伝的構造は、免疫関連遺伝子や嗅覚受容体/フェロモン受容体遺伝子を含む特定の領域で一方の亜種からの影響を強く受けており、これが雑種ゲノムにはたらく自然選択や性選択によるものであることが示された。野生ハツカネズミのゲノム解析は、人類と自然が共生していく上での重要な手掛かりになると期待される。 なお、本研究成果は4月19日公開の「Genome Research」誌に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/2024/04/post-1436.html |