2024年04月22日 |
東北大、てんかんを引き起こす脳内細胞 発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
てんかんの発作を抑える抗てんかん薬の開発は進んでいるものの、全ての患者で発作がコントロールできるわけではない。また、てんかんについて、どういったきっかけで発作が起きるのか、そのメカニズムの多くもまだわかっていない。 東北大学の松井広教授らのグループは、実験動物のマウスを用いて、脳の中の海馬に光ファイバーを埋め込み、グリア細胞の中でのアストロサイトの活動を光計測した。脳内に金属の銅を人工的に埋め込むと炎症反応が生じ、てんかん様の神経発振現象が1日に数回、散発的に生じるようになることが知られている。そこで、銅留置による神経過活動を調べたところ、神経発振に20秒程度も先立ち、アストロサイトの活動が始まることが示された。さらに、アストロサイトの活動を電気的に刺激する方法や、アストロサイトの代謝機能を薬で阻害する方法などを組み合わせることで、アストロサイトが脳神経活動を強力に誘導することをつかんだ。アストロサイトの活動制御がてんかんの新たな治療戦略となることが期待される。 同研究成果は脳科学の専門誌「Glia」(2024年4月9日付)に掲載された。 <用語の解説> ◆ てんかん: てんかんは、有病率1%の極めて一般的な脳の病気。脳が一時的に過剰に興奮することによって、意識を失ったり、けいれんが生じたりする発作を引き起こす。神経発振とも表現される。原因はさまざまで、遺伝的要因、脳の損傷、脳の発達異常、感染症、脳腫瘍、脳血管障害、または外傷などが関連すると考えられている。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/04/press20240419-03-glial.html |