2024年04月25日
東北大「負けて勝つ」ミジンコの長期共存戦略
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 競争と共存の原理は、生物学上の重要課題の1つ。絶対単為生殖型の生物種は独立した複数の集団を形成するが、生活に必要な資源が似ているため、互いに競争関係にあり、棲み分けなければ長期共存は不可能と考えられてきた。

 東北大学大学院 生命科学研究科の占部城太郎教授らのグループは、9年間にわたる山地湖での調査と実験により、絶対単為生殖型ミジンコ種の2集団が、一方が他方を排除する強い競争関係にあるにもかかわらず、長期的に共存していることを発見した。さらにその共存は、生息場所や季節のすみわけではなく、競争に負けてしまう集団が競争相手の増加を察知し、排除される前に休眠卵をすばやく生産することで実現していることを明らかにした。

 これまで休眠は不適な季節を乗り切るための戦略と考えられてきた。だが今回、それだけでなく、競争を回避するためにも休眠を利用していることを動物で初めて示した。
 本研究成果は4月8日に国際誌「Functional Ecology」で公開された。

<用語の解説>
◆ 絶対単為生殖型とは :単為生殖とは雌が単独で子を残すこと。絶対単為生殖型の生物では有性生殖は行わず、単為生殖のみで子を残す。こうした生活環を持つ種は植物や爬虫類、動物プランクトンなど広い分類群で見られる。一般的にミジンコ属は有性生殖と単為生殖をどちらも行う生活環を持つが、日本に生息する本種Daphnia cf. pulex(和名:ミジンコ)は絶対単為生殖型であることがわかっている。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20240423_02web_daphnia.pdf