2024年05月16日
東北大、「和紙」から高生分解性素材開発
【カテゴリー】:新製品/新技術
【関連企業・団体】:東北大学

 日本の伝統的な手すき和紙は、繊維が長くて丈夫な楮(こうぞ)と呼ばれる植物でできており何百年間も書籍類や襖などに使用されてきた。近年、生産量は減少しているが、自然環境で生分解されるプラスチックとして見直され研究が進められている。

 東北大学工学部の成田史生教授らはこのほど、宮城県の伝統和紙と生分解性プラ(PBS)からなる新しい複合材料(グリーンコンポジット)の試作に成功し、物理特性と生分解性を明らかにしたと発表した。

 開発したグリーンコンポジットは、宮城県川崎町の手すき和紙3層とPBSフィルム2層を重ね、ホットプレス成形した。60 MPaの引張強さを示し、コンポスト中で5週間後に80%以上の生分解率を得た。また微生物による二酸化炭素(CO2)の発生量、縦弾性係数、引張強さ、破断伸び、重量の減少量など複合材料の特性変化も詳しく調べた。今後、強度に優れ、短期間で生分解されるため、和紙の用途拡大が期待できるとしている。
同研究成果は5月9日、複合材料の専門誌「Composites Part A」に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20240515_02_paper.pdf