2024年05月21日 |
京大、理性と感情の葛藤メカニズムを解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
京都大学白眉センターの雨森賢一准教授らの研究グループは20日、「理性」を司る前頭前皮質と「感情」を司る辺縁皮質・線条体との2つの領野間にどのような信号が送られ、感情の変化に伴ってその信号がどのように変化するのかを明らかにしたと発表した。 前頭前皮質は、ヒトを含む霊長類で特に発達した領野で、さまざまな知的な認知機能を司る「理性」の中心を担うと考えられている。前頭前皮質の損傷により感情を抑えることが難しくなることから、古くから前頭前皮質は、感情制御(emotion regulation)の機能を担うと考えられてきました。さらに、うつ病などの精神疾患では、この感情制御が適切に機能しておらず、悲観的な状態が持続し日常生活へ影響を及ぼすことが知られている。 だが、その感情制御のメカニズムはほとんど明らかにされていない。研究グループは、PFCと辺縁皮質・線条体のそれぞれの領野から神経活動を同時に記録することのできる新たな多点電極記録法を開発し、さらに、sgACCの微小電気刺激によってうつ病様の悲観状態を人為的に誘導する手法を確立した。 前頭前皮質と辺縁皮質・線条体の神経活動を同時に記録し、領野間の信号の流れを調べ、人為的に誘導されたうつ状態では、前頭前皮質の信号の影響が低下していることを明らかにした。この研究によって、うつ病などの病的な悲観状態を制御する、前頭前皮質のトップダウン信号が明らかになり、ヒトに特徴的な「理性」と「感情」の葛藤する仕組みの一端が解明された。 同成果は5月17日に英国学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://ashbi.kyoto-u.ac.jp/ja/news/20240520_research-result_satoko-amemori/ |