2024年05月24日
東北大、酸化ストレス細胞死の排除機構発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

東北大、酸化ストレス細胞死の排除機構発見

 東北大学薬学部の松沢厚教授らの研究グループは23日、酸化ストレスで傷ついた細胞が細胞死を効率よく引き起こす仕組みを発見したと発表した。
 
 人体を構成する細胞は、活性酸素や様々なストレスにさらされ、酸化ストレスが生じる。研究グループは特に重度の酸化ストレス時に、抗酸化応答に重要な転写因子(Nrf2)の活性化が積極的に抑制されることで、細胞死が効率よく起きる仕組みを発見した。

 軽度の酸化ストレス時には、抗酸化応答を活性化することで細胞の生存を維持する。一方、重度の酸化ストレス時には、積極的に細胞死を起こし、損傷を受けた細胞を排除することで生体の恒常性を維持しているが、その際、抗酸化応答をOFFにして、効率良く細胞死を引き起こす必要がある。だがその詳細な機構については、不明な点が多く残されていた。

 Nrf2の活性化を担うキナーゼ分子TAK1は、ユビキチン化酵素(Roquin-2)によって酸化ストレス依存的にユビキチン化を受け、分解される。本機構の破綻は、がんなどの様々な病態の発症・進展への寄与が想定されることから、今回の発見は、がんの病態解明や、がんを抑制する新規創薬の開発に繋がる重要な基礎的知見となる。
 同研究成果は、科学誌「 Free Radical Biology and Medicine 」(5月8日付)にオンライン掲載された。
 
<用語の解説>
◆酸化ストレス :活性酸素などによって引き起こされる酸化反応により引き起こされる、生体にとって有害な作用のこと。DNA、タンパク質、脂質などの生体分子が酸化されることで、細胞機能障害が生じ、様々な疾患の発症や老化の要因となる。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/05/press20240523-01-cell.html