2024年05月24日 |
九大、シカの増加が森林の炭素貯留機能を半減 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:九州大学 |
日本全国でシカの個体数が増加しているが、「シカの増加が森林の炭素貯留機能を半減させた」とする研究結果を九州大学農学部の片山歩美准教授らの研究グループが発表した。 森林生態系は二酸化炭素を吸収し、蓄えることで気候変動緩和に貢献することが期待されている。だが、日本の多くの天然林では現在、個体数の増加したニホンジカの植生採食が深刻化しており、下層植生の減少や不嗜好性植物への置き換わりが生じている。また、樹木の枯死によって生じたギャップ地(隙間)では稚樹の更新が阻害され、裸地化しています。これらのような森林構造の変化が森林の炭素蓄積量にどのような影響を与えるのか明らかになっていなかった。 九州大学農学部の片山准教授、久米朋宣教授らの研究グループは、シカの植生採食が長期的に続く九州大学宮崎演習林の山岳林でフィールド調査を行い、シカによる森林構造の変化が森林の炭素蓄積量をどの程度減少させるのか計測した。その結果、宮崎演習林の天然林を構成するブナやモミの針広混交林が、シカに不嗜好なアセビの灌木林や、ギャップ地に変化することで、生態系内に蓄えられた炭素が最大49%減少することが明らかになった。 今回の研究結果は天然林の保全や生態系サービスを維持するためにも、シカの食害対策が重要であることをを示している。同研究成果は国際学術誌「Forest Ecology and Management」(5月10日付)オンライン速報版で公開された。 ニュースリリース参照 https://www.kyushu-u.ac.jp/f/57406/24_0523-02.pdf |