2024年06月05日
九大「過去の位置の知覚は後から決定」確認
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:九州大学

 人の目に映るものと、実際に知覚されるものとは、異なることが多いが、そこには脳の働きが反映されているという。九州大学大学芸術工学研究院の伊藤裕之主幹教授らの研究グループはこのほど、「過去の位置の知覚は後から決定される」とする学術理論を発表した。
 
 人の脳は、過去の出来事から未来を予測するだけでなく、時間的に後の出来事が前の出来事の解釈に影響を与えるポストディクション(postdiction)が、強固に機能することを確認した。この発見は、古典的な知覚現象であるsaltation錯視(Visual Saltation Illusion: VSI)の詳しい調査によって明らかになった。
 
 この現象は、現実をありのままに見ることの難しさや目撃証言の信ぴょう性の限界を理解することにつながるものと思われるとしている。
 論文は、知覚研究の専門ジャーナル「 i-Perception 」誌(2024年5月21日)オンラインで公開された。