2024年06月10日 |
三菱ケミ・慶大・IBM、量子計算手法新開発 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:三菱ケミカルグループ |
三菱ケミカルグループと慶応大学、日本IBMの3者は10日、IBM Quantum Network Hub(慶大量子コンピューティングセンター内)で、「大規模な分子・固体のエネルギーを高精度で計算するための量子コンピューターを用いた新たな計算手法」を開発したと発表した。 論文は世界的に権威のあるNature Research出版社の専門誌「npj Quantum Information」に掲載された。 三菱ケミカル、慶大、日本IBMは、大規模な分子・固体のエネルギーを高精度で求めるために、問題分割法であるハイブリッドテンソルネットワーク(HTN)と高精度計算手法である量子モンテカルロ(QMC)を組み合わせた「HTN+QMC」、さらに量子状態同士の重なりを量子回路上で効率的に計算する「疑似アダマールテスト」を開発した。 これらの手法を用いてIBMのゲート型商用量子コンピューター「IBM Quantum System One」上でフォトクロミックモデル分子のエネルギーを計算し、ノイズのないシミュレーターに匹敵する0.042±2.0 milli-Hartreeという高精度で基底状態を求めることに成功した。 この研究成果は、単体の量子コンピューターで扱えるサイズを超えた大規模な分子・固体の物性を高精度に解析する道を開くことが期待される。 3者は引き続き幅広い材料開発に用いるための量子コンピューターの技術確立を進めていく方針だ。 ニュースリリース https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1717993409.pdf |