2024年06月18日

住友ゴム、ゴムの原子構造をナノ秒単位で測定

【カテゴリー】：ファインケミカル 【関連企業・団体】：住友ゴム

住友ゴム工業は18日、東北大学、理化学研究所と共同で、1ナノ秒（10億分の1秒）を含む幅広い時間領域で原子・分子・ナノ構造の運動を測定することができる新しい放射光技術を開発したと発表した。同研究を通して、高強度かつ耐摩耗性に優れたタイヤ開発を進めていく方針だ。 　同社はこれまで東北大の齋藤真器名准教授と共同でタイヤの耐摩耗性能向上を目指した研究を行ってきた。従来の測定技術では10ナノ秒から1000ナノ秒の時間領域のみで、ゴム中の原子・分子運動の測定が可能だった。耐摩耗性能向上のためにはゴム中の原子・分子運動をより短い時間領域でさらに詳細に調べる必要があった。 　今回開発した放射光技術は、0.1ナノ秒から100ナノ秒の運動を測定することができるため、従来の測定技術とあわせることで、幅広い時間領域で原子・分子運動を測定することが可能となった。 　 　同技術は、大型放射光研究施設｢SPring-8｣を活用して開発した。さらに、最新の2次元X線カメラ｢CITIUS｣を用いることで、動いているものの時間スケールだけでなく、空間的な大きさの同時測定も可能とした。 　 　開発した技術をゴム材料に適用することで、0.1ナノ秒から100ナノ秒という幅広い時間領域で、ゴム中の分子鎖の運動の測定に成功した。同成果は学術誌｢Physical Review Letters｣に掲載された。