2024年06月21日 |
広島大、腱と骨をつなぐ線維軟骨仕組みを解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:広島大学 |
広島大学歯学部の宿南知佐教授らの研究グループは20日、腱と骨をしなやかに繋ぐ線維軟骨のかたさを制御する仕組みを解明したと発表した。筋肉の収縮力は腱を介して骨に伝達され、姿勢の維持、呼吸、複雑な身体運動が実現する。 腱の骨への付着部である線維軟骨性エンテーシスは、胎生期・出生時は硝子軟骨と腱の2層構造をとっているが、骨端の硝子軟骨に血管が侵入して骨へ置換されるに伴い、骨・石灰化線維軟骨・非石灰化線維軟骨・腱の 4 層構造をとるようになる。このプロセスは、シグナル分子と力学因子により巧妙に制御されているが、その実体は、これまでほとんど明らかにされていなかった。 研究グループは今回、骨形成抑制因子であるスクレロスチンが、線維軟骨の成熟に伴い発現する分子マーカーであること明らかにした。線維軟骨は損傷すると治癒が難しい組織だが、スクレロスチンの発現を指標にして、機能的に成熟した線維軟骨再生を目指すことができる。 今回、ゲノム編集技術を用いて硬結性骨化症の原因遺伝子でスクレロスチンが発現しなくなるSostを欠失する疾患モデルマウスの系統を確立した。原子間力顕微鏡とマイクロCTを用いた解析により、スクレロスチンがなくなると線維軟骨がかたくなり、しなやかさを失うことが明らかになった。 同研究成果は「Frontiers in Cell and Developmental Biology」(24年6月4日付)オンライン版に掲載された。 <用語の解説> ◆スクレロスチン :主に骨細胞から分泌される糖タンパク質。古典的 Wnt/β-カテニンシグナルを阻害することにより、骨芽細胞の分化・増殖を抑制して骨形成を低下させると同時に、破骨細胞の分化を促進して骨吸収を促進させる。 |