2024年06月25日 |
産総研、高強度カーボンナノ複合繊維開発 |
【カテゴリー】:行政/団体 【関連企業・団体】:産業技術総合研究所 |
産業技術総合研究所(産総研)は25日、オーミケンシ(本社:大阪市)、信州大学と共同で、高強度レーヨンに匹敵する強度と伸度を両立した低環境負荷カーボンナノチューブ複合セルロース繊維を開発したと発表した。 自動車タイヤには、自動車運転時の安全性確保のため、走行中にパンクしても一定距離走行を継続できるランフラットタイヤの使用が求められている。現在、ランフラットタイヤには、主にレーヨンでできたタイヤコードが用いられている。セルロース繊維のレーヨンは、製造時の環境負荷が高いことが問題となっている。 だが、環境負荷の低い方法で作製されたセルロース繊維の場合は、レーヨンに比べて伸度とタフネスが劣るため、レーヨンの代替品はまだ開発されていなかった。 今回、産総研が共同開発したカーボンナノチューブ複合セルロース繊維は、製造時の環境負荷を抑えながら高強度レーヨンに迫る強度と伸度を実現した。タイヤコードにおけるレーヨンの代替として大きなポテンシャルを有しており、ランフラットタイヤへの導入により、自動運転システムの普及を後押しすると期待できる。今後、実用的な製造プロセスの開発をさらに進め、タイヤメーカーと連携して、試作品の評価を受けていく計画だ。 なお研究成果の詳細は、2024年6月21日に「Composites Part B: Engineering」に掲載された。 <用語の解説> ◆ランフラットタイヤ :パンクしてタイヤの空気圧がゼロになっても時速80キロメートルで80 kmの距離を走行できるタイヤ。パンク走行時には熱が発生するため、その素材には優れた耐熱性が求められる。 ◆タフネス :引張試験で材料が破壊されるまでに必要なエネルギーで、応力ひずみ曲線の内面積値で表される。 (詳細) https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2024/pr20240625/pr20240625.html |