2024年07月02日 |
東北大、環境変動と生態系への影響予測 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学大学院 生命科学研究科の川津一隆助教はこのほど「ランダム行列理論」を用いて、多様な種間関係のバランスが不確定性を創発する鍵であることを世界で初めて示したと発表した。これまで生態系のどのような特徴が、複雑な種間関係ネットワークに加わるかはほとんど分かっていなかった。今回、多様な種間相互作用のバランスが、そのようなネットワーク不確定性を引き起こす鍵であることを理論的に示した。 具体的には、不確定性は上位捕食者が卓越する食物網で一般的なのに対し、従来の予測に反して競争/協力関係を多く擁する群集では起こりにくいことを明らかにした。 本研究で提示した撹乱に対する生態系応答の予測可能条件は、生物多様性の保全に重要な示唆を与えるほか、結果から因果関係を推定するネットワーク逆同定にも応用でき、医学など他分野への発展も期待される。 同成果は科学誌「Proceedings of the National Academy of Sciences」(6月27日付)にオンライン公開された。 <用語の解説> ◆ランダム行列理論 : 成分がランダムな値を取る行列を研究する数学の一分野。群集生態学では、群集行列の各要素がある確率分布に従うと仮定し、その統計的性質に基づいて生態系の安定性や侵入種が群集に与える影響の解析に用いられる。 (詳細) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20240701_01web_network.pdf |