2024年07月08日 |
東レ、採光生と遮熱性両立の農業用シート開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:東レ |
東レは8日、ビニールハウスに被覆して農作物の光合成に必要な可視光を透過し、気温を上昇させる赤外光は遮蔽するという、新たな農業用の遮熱シートを開発したと発表した。これにより、農作物の高温に対するリスク軽減と、農作業従事者の熱中症リスク軽減が期待できる。2025年春からの本格販売に向けて、サンプルの提供とモニター評価を開始する。 近年の温暖化傾向によって、ハウス栽培農作物には、品質低下や収穫量減少などの影響が出ている。特にハウストマトは夏場に裂果や着果不良などの高温障害が発生しやすく、収穫量が減少する課題がある。 東レでは、2018年に石川県と(公財)いしかわ農業総合支援機構、県内のトマト農家らと共同で「新たな遮熱資材を活用した高収益施設園芸モデル構築コンソーシアム」を組織し、農業用遮熱シートの開発と実証試験を行ってきた。その結果、可視光の透過性が高く、赤外光を吸収・反射する遮蔽性に優れた機能剤を見いだし、それを添加したフラットヤーン(フィルムを短冊状に裁断した糸)を開発した。またその織物を設計し、2023年に高採光性と高遮熱性を両立するシートを実現した。 同社の調査によって、従来フィルムと比較して、夏季のハウス内日中平均気温を最大約3℃、最高気温では最大約5℃低下し、トマトの高温障害発生が軽減されることを確認した。 2025年春の本格販売に向け、実証点数を増やし、遮熱効果や収量性などについて評価していく計画だ。トマト以外の園芸作物への応用、展開も目指す。なおシートは10月に幕張メッセで開催される「J AGRI」に出展を予定している。 ニュースリリース https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1720404800.pdf |