2024年07月10日
京大、パーキンソン病患者の脳内構造解明
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 京都大学大学院 医科学研究科の澤本伸克教授らの研究グループは10日、神経変性疾患の一種であるパーキンソン病患者の歩行障害を代償する脳内ネットワークを解明し、そのネットワークの調整に前脳基底部のアセチルコリン作動性神経が関係していることを突き止めたと発表した。

 研究グループは、パーキンソン病患者の歩行機能、認知機能、頭部磁気共鳴画像法(MRI)構造画像、安静時機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を評価した。パーキンソン病患者56人の高次元歩行データに対して次元削減を行い3次元で可視化し、クラスター解析を行った。
 
 その結果、パーキンソン病患者の歩行障害を代償する機構に、線条体と前頭頭頂ネットワークの機能的結合が関与すること、さらにその機能的結合は注意機能に関係することが知られる前脳基底部の灰白質容積と相関していることが明らかとなった。今回の研究結果は、パーキンソン病の歩行障害に対して将来的に薬物療法やリハビリテーションなどの開発に寄与できると考えられる。
 本研究成果は2024年7月8日に、国際学術誌「Neurology」に掲載された。