2024年07月17日 |
ダイセル、パワー半導体向け新接合材開発 |
【カテゴリー】:新製品/新技術 【関連企業・団体】:ダイセル |
ダイセルは17日、大阪大学産業科学研究所の研究グループと共同で、銀(Ag)とシリコン(Si)の複合焼結材料を新たに開発したと発表した。この材料は、銀のみを使用した従来材料と比較し、厳しい熱衝撃試験後の結果において(-50℃~250℃で1000サイクル)、約2倍の強度保持率を達成している。同材料を使用することで、材料コストの削減を実現する高性能パワー半導体の製造につなげることができる。 ■従来材料の課題 脱炭素化の社会で、EV(電気自動車)の普及に「SiC(炭化ケイ素)パワー半導体」は不可欠。この半導体は、電力変換ロスを大幅に低減し、機器の小型化や、CO2排出量削減に大きく貢献する。だが一方で、200℃を超える高温環境下では動作上の課題を抱えており、安定的な動作を保証するための耐熱・放熱技術や、構造信頼性を維持する材料の開発が求められていた。 この高温動作の課題に対しては、現在までに銀ナノ粒子(粒径<100nm)焼結接合技術の活用が主に検討されているが、それも厳しい熱衝撃試験(-50?250℃)では、銀接合層と半導体デバイス接合界面(境界)に亀裂が発生したり、構造が破壊されるなど、多くの課題が残されていた。 ■新開発材料の特徴 今回の新接合材料では、銀とシリコンの接合界面におけるシリコン表面に酸化膜ができることで、低温界面が確実に形成され、低い熱膨張係数の接合材料を実現し、界面亀裂の発生および構造破壊の問題が大幅に改善された。さらにシリコンの添加量を調整することで熱膨張係数の制御が可能となる。 今回開発した銀とシリコンの複合焼結材料を、SiCパワー半導体とDBC基板(Cu回路付きセラミック基板)の接合材料として使用することで、SiCパワー半導体と接合材料の熱膨張ミスマッチを低減させ、厳しい使用環境においても接合界面の亀裂や構造破壊が起こりにくくすることができた。さらに、シリコンを加えることにより、従 来の銀のみの接合材料と比較して材料コストの削減につながることが期待される。 ニュースリリース https://www.chem-t.com/fax/images/tmp_file1_1721199560.pdf |