2024年08月05日 |
東北大、遺伝子の翻訳効率測定技術 開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学大学院の市之瀬敏晴准教授らの研究グループは2日、遺伝子ごとの翻訳効率を生体内の特定の細胞種で測定する技術を開発したと発表した。翻訳効率が10倍以上異なる遺伝子を158個同定した。 人体を構成する多彩な細胞はほとんど同一のゲノムを持つが、この「同じゲノムから多彩な細胞がどのようにして生まれるか」は、生物学における未解決の問題。ゲノムからの遺伝子発現は主に転写と翻訳という二つの段階からなる。これまで転写については細胞種間の違いが明らかにされてきたが、翻訳の多様性については多くが不明のままだ。 市之瀬准教授らは、ショウジョウバエを使い、その神経細胞とグリア細胞において、mRNAと結合するリボソームの数を定量することで、mRNAあたりの翻訳効率を細胞種間で比較した。その結果、神経細胞とグリア細胞で翻訳効率が大きく異なる遺伝子を網羅的に同定することに成功し、特に神経機能に重要な遺伝子はグリア細胞での翻訳効率が極端に低く、その抑制には、上流のタンパク質をコードしない配列が重要な役割を果たしていることを発見した。 本研究は、翻訳制御による細胞種多様性の創成メカニズムを明らかにしたといえる。 同成果は7月16日、生物学分野の専門誌eLifeに掲載された。 |