2024年08月06日
NEDO、「洋上風力発電」浮体式工法を実証
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 NEDOは5日、グリーンイノベーション基金事業「洋上風力発電の低コスト化」プロジェクトで、「浮体式基礎製造・設置低コスト化技術開発事業」に参画する日立造船と鹿島建設両社が、セミサブ型浮体式基礎の量産化技術を開発し、水上接合による基礎製造工法の実証に入ったと発表した。
 両社は、新開発した工法が技術的に実現可能で、浮体式基礎の製造工程が1割以上短縮可能であることを確認した。今後導入が本格的した場合、浮体式基礎の量産化、低コスト化実現に生かされると期待している。
 洋上風力発電は大量導入やコスト低減が可能なことから、わが国にとって再生可能エネルギーの切り札とされている。水深の浅い欧州では着床式洋上風力発電の導入が盛んだが、急深な地形の日本やアジアでは、低風速・台風・落雷などの気象条件も踏まえて浮体式洋上風力発電へのニーズが高い。
 
■今回の成果と今後の予定
(1)浮体式基礎の量産化技術の開発
 本事業で検討している量産化コンセプトは、15MW級の風車を搭載する大型の浮体式基礎が収まるような大型のドックが国内に少数しかなく、浮体の大量生産のボトルネックになり得ることに着目し、ドックでの作業期間を最小化して、浮体式基礎の量産化につなげるのが狙い。今回、浮体式基礎の分割ブロックを造船・鉄構メーカーなどのサプライチェーン先で製造し、既存ドックなどへえい航輸送後、ブロックを接合して浮体式基礎を完成させるという量産化技術を開発した。
(2)本工法の実証
 ブロックを接合して浮体式基礎を完成させる大組立の方法として、造船ドックなどに水を張った状態でブロックを搬入、排水前に水上でブロック同士の位置合わせを実施し、排水後、溶接する本工法を今回開発した。浮力を活用して重量による問題を軽減し、大組立工程の1割以上の短縮を実現できる。
 また本工法の妥当性を確認するため、15MW級の風車を搭載することを想定した浮体式基礎のブロックの接合部を実寸サイズで製造し、2024年1月末から2月末に日立造船の堺工場でブロック接合試験を実施した。試験の結果、本工法が技術的に実現可能であることを確認した。
(3)今後の予定
 2040年までに洋上風力発電を30~45GW導入するという政府目標の達成に向けて、風車、浮体、係留システム、ケーブルの挙動・性能・施工性・コストを考慮した一体設計により、浮体式洋上風力発電の信頼性の向上と低コスト化を目指し、システム全体として関連技術を統合した実証を行う。これにより、2050年カーボンニュートラルへの道筋を示し、電力分野における温室効果ガスの排出量削減に貢献する。