2024年08月07日 |
東北大、有機分子研究進む、燃料電池小型化へ |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
水素はCO2排出ゼロの次世代エネルギー源として期待され、燃料電池の固体電解質として注目されている。従来の研究では、有機材料中の分子運動やプロトン伝導性に対する右手・左手の鏡像関係にある分子がもたらす非対称性(キラリティ)の効果については明らかになっていなかった。 東北大学 多元物質科学研究所の芥川智行教授らの研究グループは6日、キラル分子の運動性が乏しい1,2,3-トリアゾール塩では、左手型(または右手型)分子のみを含む「ホモキラル結晶」の方がアゾール分子の回転運動が活発で、無加湿プロトン伝導度も高いことがわかったと発表した。 一方、キラル分子の運動性が活発なイミダゾール塩ではキラリティの影響は見られず、結晶のキラリティ(非対称性)が分子運動により平均化されずに保持されていることが重要であることが示された。人体の生命活動が右手型のみのアミノ酸によって効率的に行われているのと同様に、プロトン伝導体についても、キラリティの保持が効率の向上に重要であると考えられる。本成果はホモキラルな環境が高効率なプロトン伝導体の設計に利用可能であることを示しており、燃料電池のさらなる性能向上と小型化につながると期待できる。 同研究成果は米国科学誌「Journal of the American Chemical Society」(7月31日付)にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/08/press20240806-01-Chiral.html |