2024年08月19日
京大調査「なつかしい記憶と感じ方世代差」
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学 教育学研究科の楠見孝教授らは16日、国内の成人600名を対象に1年間のインターネット調査を実施し、なつかしい記憶を思い出した時に、ポジティブ/ネガティブな感情の感じやすさの個人差が、世代性や統合とどのように関係するかを検証したと発表した。
 エリクソンの発達課題の理論では、各段階の心理的適応につながる発達課題が設定されており、壮年期が世代性(次世代の育成や指導に興味をもつこと)、老年期は統合(それまでの人生に意義と価値を見出すこと)とされている。
 研究チームは、ポジティブ傾向性の高さ、またはネガティブ傾向性の低さは、その後の発達課題の達成度を高めるという仮説を立て、600名を対象にインターネット調査を2回実施した。解析の結果、ポジティブ傾向性の高さ、およびネガティブ傾向性の低さは、統合の高さを予測することが分かった。さらに、なつかしさの機能とされる、社会的結びつき、自己の時間的連続性、人生の意味、自己の明確化との関連を解析した結果、なつかしさのポジティブ傾向性が高い人は社会的繋がりを強く感じ、統合が高まっていることが示された。
 世代性については、世代性がなつかしさのポジティブ傾向性の高さとネガティブ傾向性の低さを予測しており、仮説とは逆の結果が得られた。

 同研究成果は国際学術誌「The International Journal of Aging and Human Development」(8月6日)にオンライン掲載された。