2024年09月02日
東北大、次世代エポキシ樹脂の構造と特性解明
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学大学院 工学研究科の川越吉晃助教らのグループは30日、高い耐光性から次世代LEDなどへの適用が期待できる非芳香族エポキシ樹脂に注目し、同グループの開発した分子シミュレーション手法と量子化学計算、力学試験、3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuを用いたX線散乱など、数値計算と先端計測を連携させて分子構造と力学・光学特性の相関を明らかにしたと発表した。次世代材料開発の加速につながると期待される
 
 エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂は、高い力学や耐熱性を示し、半導体封止材や航空機向け複合材料の母材樹脂など、幅広い産業分野で活用されている。熱硬化性樹脂はその主剤であるプレポリマーと硬化剤の選択によって様々な材料特性を発現する高分子合成が可能であり、各分野で求められる要件に合わせた材料設計が行われてきた。だが、その根源となる分子構造と巨視的な材料特性の相関関係は十分には解明されていなかった。

 今回、プレポリマーの鎖長が長いほどポリマーの耐熱性と強度はやや下がるものの壊れにくく、短いほどボイドが連結して壊れやすいことなどをつかんだ。計算計測融合による本成果は、高度な設計要求をみたす次世代材料開発の高速化や省コスト化に貢献すると期待できる。
本研究成果は、学術誌「Physical Chemistry Chemical Physics(PCCP)」(8月27日)に公開された。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20240830_01_epoxy.pdf