2024年09月04日
京大、細胞膜脂質の分布を制御する新しい仕組み発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学アイセムス(物質―細胞統合システム拠点)の鈴木淳教授らの研究グループは3日、細胞膜脂質の分布を変化(スクランブル)させる新しい仕組みを発見したと発表した。
 この成果は、8月31日付の「Nature Communications」誌で発表された。

 細胞膜を構成する脂質は、細胞膜の外側と内側で非対称的に分布しており、膜の外側と内側で構成する脂質の種類が異なっている。例えば、膜の外側にはホスファチジルコリンが多く内側にはホスファチジルセリンが多く分布している。だが、細胞内外の環境変化が起こると、その変化に柔軟かつ速やかに適応するために、この非対称性は変化する。
 
 鈴木教授らのグループはこれまで、TMEM16ファミリーやXkrファミリーといった細胞膜スクランブラーゼを同定してきたが、これら2つのファミリー以外に脂質をスクランブルするタンパク質が細胞膜上で存在するかは不明だった。

 今回の研究で鈴木教授らのグループは、TMEM16ファミリーやXkrファミリーといった2つのファミリーがなくても、カルシウム刺激によって細胞膜で脂質がスクランブルすることを見出した。
 同研究によって、異なる2つの膜タンパク質が複合体を形成することで、はじめて、単独のタンパク質が持つ機能とは異なる新しい機能発現(脂質スクランブル)が発揮されることが示された。今後、新たな薬剤の開発につながることが期待される。
 
ニュースリリース参照
https://www.icems.kyoto-u.ac.jp/_wp/wp-content/uploads/2024/09/1_japanese_pr_iCeMS_SuzukiG_web.pdf