2024年09月10日 |
北大、北海道イネの特性、早生性の原因解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院農学研究院の貴島祐治教授らの研究グループは9日、イネの葉の発達スピードと幼穂(ようすい)の出現を厳密に測定し、イネの生育ステージを正確に区別することに成功したと発表した。 その結界、北海道で栽培されている早生(わせ)のイネが早期に穂を出す性質は、生長速度が早いのではなく、普通のイネでは普通に見られる基本栄養生長期と生殖生長期の間にある可消栄養生長期が極端に短いことに起因することをつかんだ。 可消栄養生長期は、基本栄養生長が終わった後の「中休み」の期間に相当する。基本的に中生(なかて)や晩生(おくて)と呼ばれる生育期間の長いイネは、この「中休み」期間が長いと言われてきたが、今回の研究によってその期間が具体的に定義づけられた。 また、通常、イネの生育期間は日長や温度に強く影響を受ける。北海道の早生イネが長日で冷涼なイネに不向きな高緯度の環境でも安定して育つ理由の一つは、可消栄養生長期が短いことにより生育期間の変動が小さいためだったことがわかった。 さらに、可消栄養生長期の長さを制御している二つの遺伝子Ghd7とOsprr37のうち、北海道の早生のイネは、どちらも欠損しているが、Ghd7の欠損がより大きく影響することが示された。また、中生品種の日本晴を用いて機能しているGhd7遺伝子をゲノム編集によって壊すと、典型的な早生の性質が現われた。 以上のことから、北海道で広く栽培されている早生のイネは、主にGhd7遺伝子の欠損により可消栄養生長期を失うことで、環境の変化にもあまり動じず、休むことなく基本栄養生長から生殖生長へと愚直に生育していくことが明らかになった。 なお、同研究成果は8月9日公開の「Plant Stress」誌に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/2024/09/post-1586.html |