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2024年09月11日 |
九大、分子性量子ビット重ね合わせが化学物質に応答 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
九州大学大学院工学研究院の楊井伸浩准教授(現 東京大学教授)らの研究グループは10日、分子科学研究所機器センター、名古屋大学などと共同で室温下で様々な分子を識別可能な量子センシング手法を提案したと発表した。 分子性量子ビットは量子センシングに有用と期待されているが、その応用は極低温下がほとんどであり、室温で様々な化学物質のセンシングを行える手法は開発されていなかった。 今回、ゲスト応答性を示す多孔性金属錯体 (MOF) を用いて三重項量子ビットの量子重ね合わせ状態をゲスト分子選択的に変化させることに成功した。 研究では、ゲスト分子種に応じて構造を変化させる特徴を有するMOFと室温下で利用可能な三重項量子ビットを組み合わせ、導入するゲスト分子の種類に応じて量子ビットの量子重ね合わせ状態の保持時間を変化させる手法を開発した。今回の成果により、MOFと量子ビットの組み合わせの多様さを活かしたケミカル量子センサーの実現が期待される。 本研究成果は9月2日にNature Researchの国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。 <用語の解説> ◆量子ビット : 0と1で表される古典的なビットの概念をエネルギーの異なる2準位の量子系へと拡張したもので、その例として電子スピンが該当する。 ◆量子センシング : 量子ビットの量子力学的な性質を利用してセンシングを行う技術で、量子重ね合わせ状態が外部環境に極めて敏感であることから、従来に比べて高感度・高分解能なセンシングが可能になると期待されている。 (詳細) https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1142 |