1999年11月24日 |
スケルトンブーム、ユーザーの関心は透明ABS樹脂から透明HIPSへ |
ともに各社供給余力なく今後も需給タイト~市況も高水準で推移 |
【カテゴリー】:原料/樹脂/化成品 【関連企業・団体】:大日本インキ化学工業、テクノポリマー、電気化学工業、東洋スチレン、東レ |
アップル・コンピュータ社がiMACを発売以来続いているスケルトン・ブームは、すでに家電や日用雑貨の分野まで及んでいるが、ユーザーの採用する素材は当初のPC(ポリカーボネート)、透明ABS樹脂から、現在はHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)の透明グレードにシフトが進んでいる。価格面やメーカーの供給不足が原因だが、透明HIPSメーカーも供給余力がなく、市況は高水準で推移している。 現在、PSおよびABS樹脂汎用グレードのアジア市況は、GPPSがトン当たりCFR香港で800ドル前後、HIPSが同850ドル前後、ABS樹脂は990~1010ドルとなっている。これに対し、透明HIPSの価格は1,700~1,800ドル、透明ABS樹脂も2,200~2,300ドルとかなり高い。 透明ABS樹脂を生産しているのは、日本ではテクノポリマー、電気化学工業、東レの3社が中心で、アジアを見てもほかにはFCFC(台湾化学繊維)しかいない。このためユーザーからの引き合いが旺盛であるにも関わらず、各社とも現在のスケルトン・ブームに対応するだけの供給余力がないことから、需給は逼迫した状態が続いている。 次にユーザーが飛びついたのが透明HIPSで、透明ABS樹脂よりも安価ながら性能面ではそれほど遜色がないため、エー・アンド・エム スチレン、東洋スチレン(電気化学)、大日本インキ化学工業の3社に注文が殺到している。しかし、最近の業界再編により設備廃棄を進めた各社とも対応し切れないのが現状で、年内いっぱいは供給できないとして引き合いに応じていないメーカーもある。 スケルトン・ブームが終焉を迎えるのはいつかわからないだけに、各社とも設備を増強してまで対応することは考え難く、当面は透明ABS樹脂、透明HIPSとも極めてタイトな状況が続くと予想される。 |