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2024年09月13日 |
東北大、カキ漁師が品質などに一石三鳥の知恵 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:東北大学 |
東北大学大学院 工学研究科の坂巻隆史准教授らは13日、宮城県南三陸町に位置する志津川湾内のカキ養殖漁場で行った実験によって、カキ養殖漁業者がムラサキイガイ等の付着対策として行っている「温湯処理」が、カキの成育改善や品質向上、海底の汚濁負荷軽減などに寄与していることを実証した。 カキ養殖では、人間が餌を与えることなく、海域の栄養塩やそれを基に生産される植物プランクトンなどの有機物を餌としてカキを育てている。 漁業者によるこの温湯処理は、付着生物が栄養塩や有機物を餌として奪い浪費するのを抑制し、それをカキの生産に転換する技術。この成果は、先端技術に依らなくて、自然界の物質動態に目を向け、栄養塩・有機物を有効に使うことで、食料生産効率の向上や環境負荷の軽減といった利益が得られることを示す好例と指摘している。 同研究成果は、科学誌「Journal of Cleaner Production」(9月3日付)に公開された。 ◆ 温湯処理 : 養殖カキを船上の湯釜で短時間熱して付着生物を除去し、再び海に戻してカキを成長させる処理。55~60度程度に熱した海水を用いて行われる。カキは、イガイなどの付着生物等に比べて殻が厚く密閉度も高いため、熱への耐性が比較的高く、この処理が可能となっている。漁業者が経験的に編み出した技術といえる。 ニュースリリース参照 https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20240913_02_oyster.pdf |