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2024年09月26日 |
九大、加齢に伴う筋萎縮を抑制する抗体開発 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:九州大学 |
年齢を重ねると、骨格筋はなぜ萎縮するのか。筋の柔軟性もなぜ低下するのか。「効果的な予防法や治療法はないのか」ー 九州大学農学研究院の辰巳隆一教授らの研究グループは25日、加齢に伴う筋萎縮と柔軟性低下を抑制する抗体を開発したと発表した。 研究グループは筋幹細胞の活性化因子HGF (肝細胞増殖因子)がニトロ化されると生理活性を失うことを見出し、今年1月、この現象が加齢に伴い進行・蓄積することによって筋萎縮が進行するという新しい学説を発表したが、さらにこの研究成果に基づき、HGFのニトロ化・不活化を抑制するモノクローナル抗体の作出に成功した。 この1C10抗体は、ニトロ化されるチロシン残基の極近傍に結合することで、HGFのニトロ化を抑制する特殊な抗体という。抗体が結合した状態でも細胞膜受容体との結合性が保持されているため、筋幹細胞の活性化とこれに続く増殖・分化などの生理活性も損なうことはない。また今回研究で、抗体のFab領域(抗体分子の「Y」の上半分の「V」の部分)がニトロ化抑制効果を発揮することも明らかになった。 これらの研究成果はヒト・ネコ・イヌなどのHGFにも広く適用できる。ヒトや伴侶動物の加齢性筋萎縮症に対する抗体医薬への応用が期待され、健康寿命の延伸に大きく貢献すると期待される。 本研究成果は英国の雑誌「Aging Cell」に2024年9月19日に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/1147 |