2024年10月08日 |
京大、新型コロナウイルス変異株の構造特性解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:京都大学 |
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)「オミクロン株」は次々と変異を繰り返して流行の波を形成しているが、 京都大学医生物学研究所の橋口隆生教授、北海道大学薬学研究院の前仲勝美教授らの研究グループは8日、昨年流行した「XBB系統」から30箇所以上の変異をSpike蛋白質に獲得し、新たな変異株として解明したと発表した。 今年流行の大きな波を形成した株の蛋白質の構造をクライオ電子顕微鏡を用いて解明した。現在流行中の変異株(KP.3)などはこの子孫系統になる。 構造的な特徴として、ウイルスが細胞に感染する際に最初に細胞の入口として利用する受容体ACE2に対して、これまでに観測されたことのない様式でもウイルスが受容体に結合できる様子(中間体構造)が観察された。さらに、獲得した変異のうち、K356Tという変異が中和抗体からの逃避能を高めていることも分かった。 新しい変異株が感染力を高めたり、抗体から逃避する変異を獲得した理由を説明できる構造情報が得られたことで、病原性の理解と変異株対応ワクチン開発などの創薬研究への進展が期待できる。一連の構造情報は、国際的な構造データベースであるProtein Data Bank(PDB)などを通じて世界中の研究者が無償で利活用できる。 本研究成果は10月7日付の国際学術誌「Nature Communications」にオンライン掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2024-10-08 |