2024年10月09日
東北大、細胞死の新たなバイオマーカー発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 東北大学医学系研究科の五十嵐和彦教授と東京都立大学の成川礼准教授らの共同研究グループは8日、シアノバクテリア由来の光受容体タンパク質であるシアノバクテリオクロムを用いて、フェロトーシス時に細胞内のビリベルジン量が大きく減少することを突き止めたと発表した。これはフェロトーシス特有の現象であり、ビリベルジンがフェロトーシスのバイオマーカーとして、将来、がん治療の効果や感受性の判定に利用できる可能性を示すものとなる。
本研究の成果は9月28日に日本生化学会「The Journal of Biochemistry」誌にオンライン掲載された。

<用語の解説>
◆フェロトーシス
 2012年にDixonらによって新しく報告された細胞死機構。細胞内自由鉄(Fe2+)を触媒として細胞膜リン脂質の過酸化反応が連鎖し脂質ヒドロキシラジカルが蓄積することで細胞が死に至ると考えられている。自由鉄を除去する鉄キレート剤の投与によって抑制される。
◆ビリベルジン
 赤血球の主成分であるヘモグロビンの分解で生じる生成物。このビリベルジンがさらにビリルビンに変換され、肝臓に取り込まれ修飾されてから胆管を経て消化管に排泄される。ビリベルジンには光を吸収する作用や還元作用、抗炎症作用もあることがわかっている。
 
ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/10/press20241008-01-Intracellular.html