1999年11月19日
三菱化学、当面の内外SM供給方針を固める
自消・準自消で内外のSM販売先をカバー
【カテゴリー】:海外
【関連企業・団体】:BASF、JSR、旭化成、テクノポリマー、三菱化学、三菱化学フォームプラスティック

 三菱化学はこのほど鹿島へのSM(スチレンモノマー)設備集約を完了、先ごろ発表したシンガポールにおけるSM引き取り権の取得とあわせ、国内外の供給方針をほぼ固めた。国内については、エー・アンド・エム スチレン、テクノポリマー、三菱化学フォームプラスティックを中心に関係会社で8割強を消費、一方シンガポールについても、台湾・奇美実業やタイのPS(ポリスチレン)子会社HMTポリスタイレン向けに供給、外販量を数万トンに抑えた安定的な供給体制を構築する方針だ。
 三菱化学は昨年7月、国内のSM供給体制構築のため今年6月末から鹿島の年産33万トン設備で60日を超える大型定修を実施、能力を6万トン引き上げると同時に、四日市の27万トン設備を休止する方針を打ち出した。四日市の設備は10月下旬に休止する予定であったが、定修を終えた鹿島の設備でトラブルが発生したため、最終的には鹿島が再々稼働後オンスペックとなった11月12日に休止した。この結果、同社の国内生産能力は鹿島のみ39万トンとなった。
 同社によると、39万トンのうちの8割強は旭化成工業とのPS事業統合会社エー・アンド・エム スチレン、JSRとのABS樹脂事業統合会社テクノポリマー、また100%子会社でEPS(発泡ポリスチレン)を手がける三菱化学フォームプラスティック向けに供給する。このほかJSRやJSRシェルエラストマー、またABS樹脂やEPSのユーザー向けの供給があり、ほとんど外販を行わなくてもすむ体制を構築した。
 一方、シンガポールでは、シェルとの合弁会社セラヤ・ケミカルズについて、シェルが独BASFと2期設備の建設を決定にともない、三菱化学はセラヤの保有株式30%をシェルに売却、1期・2期合計で38万トン分の建設費相当額を預託する代わりに同量の引取権を取得した。この38万トンの販売先については、奇美実業の台湾および中国向けに加え、タイのPS子会社で先ごろ100%子会社化したHMTポリスタイレン向けで30~35万トンを消費するイメージを持っており、現在奇美実業と交渉を進めている。
 このように同社は、内外とも供給先の大半を自消および準自消でほぼ固めており、今後は市況の急騰など不測の事態に対処できる体制の確立を目指す方針。