2024年10月11日 |
北大、南極微生物が極限の中で生き抜く戦略解明 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院 先端生命科学研究院の塚本卓助教らの研究グループは10日、南極の細菌が、プロテオロドプシンと呼ばれる光受容体タンパク質を介して極限環境の中を生き抜く仕組みの一端を解明したと発表した。光受容体タンパク質の一種であるロドプシンの機能と、細菌の光応答性を結びつけることに成功した。 また、それが低温環境に適応したプロテオロドプシンの機能によって支えられていることを明らかにした。 2000年に海洋細菌から発見されたプロテオロドプシンは、地球上の様々な環境に生息する細菌に多数分布していることが確認されており、植物の光合成と並んで生態系のエネルギー循環を担う分子として生態学的な重要性も広く認識されている。だが、これらの細菌は実験室で培養することが極めて困難なため、天然の細菌がプロテオロドプシンを介して実際にどのように光を利用しているのかを実験によって示した例は少なかった。 そこで研究グループは、プロテオロドプシンを持ち、実験室で培養可能な南極の赤雪由来の好冷性細菌である、Hymenobacter nivis P3T(H.nivis)を用いて、光で活性化するプロテオロドプシンの機能とH.nivisの光応答性を結びつけ、H. nivisの光利用の実態を実験によって示してみた。その結果、H. nivisは光を受けるとプロテオロドプシンを介して細胞の内外にプロトン駆動力を作り、それを使ってアデノシン三リン酸(ATP)が合成され、作られたATPがH.nivisの細胞増殖に使われるという一連の生物応答を、実験によって示すことに成功した。さらに、南極の低温環境に適応したH.nivisのプロテオロドプシンの機能を明らかにした。これらの研究成果は、9月17日公開の「Biochemistry」誌に掲載された。 (詳細) https://www.hokudai.ac.jp/news/pdf/241010_pr.pdf |