住友化学工業

CHEMNET TOKYO

2024年10月15日
東北大、体温で接着力が1000倍変化/水中接着剤 開発
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:東北大学

 水中で使える接着剤は、生体環境のような濡れた表面へ材料を結合することを可能にし、医療機器の開発や止血などに役立つ。特に、健康状態のモニタリングや電気を使った治療、薬の投与などには、生体電子機器(バイオエレクトロニクス)と生体組織の間に安定した接続を持つことが重要だが、強すぎる水中接着剤には剥離の際に傷つけやすい。湿った環境で強い接着を保ちながら、容易に取り外せることが重要となる。

 東北大学学際科学フロンティア研究所の阿部博弥准教授らのグループは11日、ムール貝の足(足糸)が有する水中接着性に着想した、新タイプの接着剤を開発したと発表した。水中接着剤に温度応答性を付与することで、体温以上では強固に接着し、以下では容易に剥離する脱着可能な水中接着剤を開発した。
 
 今回開発した「温度で接着性を制御できる水中接着剤」は、生体医療機器を人体に安全に取り付けることができ、また取り外す際の皮膚へのダメージを最小限に抑えるなどの、実用化に向けたさらなる研究につながると期待できる。
 同研究成果は材料科学専門誌「NPG Asia Materials」(10月11日付)にオンライン公開される。

<用語の解説>
◆足糸 :ムール貝が岩やその他の硬い表面にしっかりと付着するために使う糸状の構造物のこと。ムール貝の足の部分から分泌される特殊なタンパク質でできており、これが固まることで強力な接着力を発揮する。

(詳細)
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20241011_04_mussel.pdf





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