1999年11月18日
独バイエル、1~9月業績は3Q増収で4.5%増の187億ユーロ
営業利益はR&D投資拡大で6%減の22億ユーロ
【カテゴリー】:人事/決算
【関連企業・団体】:バイエル

 独バイエルは、このほど1~9月の業績を発表した。これによると売上高は、今年6月に上場したアグフアを除き、3Q(第3四半期)に前年を12%上回る63億ユーロ(5,970億円)を記録し上昇へと転じたこともあり、187億ユーロ(2兆690億円)と4.5%増加した。
 また営業利益は、研究開発費を21%増の16億ユーロ(1,770億円)と大幅に増やしたこと、また昨年末に買収した米カイロン・ダイアグノスティックス社診断薬事業の統合による特別費用、血液凝固第_因子製剤「コージネイト」および血漿分画製剤の生産不足にともなうコスト増のほか、さらに化学品事業部門の業績が思ったほど伸びなかったことなどから22億ユーロ(2,434億円)と6%減少した。これに対しアグフア上場など事業構成の変化を考慮しないベースで比較すると、売上高は3%減の205億ユーロ(2兆2,681億円)、営業利益は29%増の32億ユーロ(3,540億円)となった。同社は、長期的に見て研究開発を強化することにより、十分な見返りが得られると見ており、今後も積極的に研究開発投資を行う、としている。
 ドイツで会見したマンフレッド・シュナイダー社長のコメントは大要次の通り。
・最も明るいニュースは、ヘルスケア事業部門が21%の増収となったことである。診断薬事業グループが59%の増収となったほか、医療用医薬品事業も18%増と世界市場を大幅に上回る伸びを示した。カイロン社統合による特別費用や生物製剤の生産問題がなければ、売上高以上に営業利益も伸びたであろう。
・ヘルスケア事業分野については、明るい将来を確信しており、高コレステロール血症治療薬バイコールやコージネイト、呼吸器系感染治療用抗生物質アベロックスなどの未来の大型商品が寄与すると見ているため、2002年までの売上高利益率を20%と予想している。また医療用医薬品事業のコスト削減計画は、年間3億6,000万ユーロ(398億円)の効果をもたらす可能性がある。
・農業関連製品部門が記録した売上高利益率21%は、当社を世界屈指の高収益会社にさせるものであり、殺菌剤、種子処理の強みに加え、園芸/プロフェッショナルケアというコンシューマー事業で非常に大きな前進を遂げてきた。
・高分子材料事業部門の売上高は1%増にとどまったが、売上高利益率は13%と満足のいくものであり、厳しい環境下で極めて安定的に推移した。高分子材料はバイエルの強力な事業の1つであり、今後も変わりはない。しかし、欧州、特にドイツの景気回復の鈍さにより最もシビアな影響を受けた化学品部門の業績は7%の減収、31%減益となった。
・通期の見通しについて、売上高5%増の250億ユーロ(2兆7,600億円)を見込んでいるが、利益改善のペースが鈍いため年初の出遅れを4Q末までに取り戻すとは困難だ。したがって、年末時点の営業利益は1998年レベルには達しないが、純利益は前年比2桁の増加となる見通しだ。