2024年11月12日 |
東北大、記憶の運命は「グリア細胞」が握る |
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東北大学大学院 生命科学研究科の山尾啓熙研究員らはこのほど、マウスを使た実験で「記憶の運命はグリア細胞が握る」ことを明らかにしたと発表した。脳内アストロサイトに光に反応するタンパク質を遺伝子発現するマウスを用いて、記憶の形成過程を調べた。 マウスを実験箱に入れて、床に電気ショックを流すと、マウスは痛みを感じる。翌日、同じ実験箱にマウスを入れると、通常は、前日の体験を覚えているので、マウスはすくみ反応を示す。そこで、実験初日、床に電気ショックを流した直後に光ファイバーを通して扁桃体を照射し、アストロサイトを酸性化してみた。すると、その体験の数分後のマウスはすくみ反応を示したが、翌日のテストでは恐怖記憶をすっかり忘れ、実験箱内を気楽に探索しはじめた。 この結果、怖い記憶が長期的に残るか残らないかは、恐怖体験の瞬間のアストロサイトの状態に依存することがわかった。アストロサイトの細胞機能に介入することで、トラウマの形成を回避できる可能性が示唆された。 本成果は2024年11月4日付で脳科学の学術誌「Glia」に掲載された。 <用語の解説> ◆グリア細胞: 脳実質を構成する神経細胞以外の細胞は、総称して、グリア細胞と呼ばれていて、脳内には神経細胞に匹敵する数のグリア細胞がある。グリア細胞は、大きく分けて、アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイトに分類されている。脳内での情報処理は、膨大な数の神経細胞同士が織り成すネットワークによって実行されていると考えられている。 (詳細) https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20241111_03web_glia.pdf |