住友化学工業

CHEMNET TOKYO

2024年11月15日
北大、「居眠り病」に有効な治療標的発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:北海道大学

 北海道大学医学研究院の吉川雄朗教授と、岩手医科大学、筑波大学の研究グループは14日、ヒスタミン代謝酵素であるヒスタミンメチル基転移酵素( HNMT )の阻害薬を用いた研究成果を発表した。この中でHNMT阻害薬がマウス脳内ヒスタミン量を増やし、覚醒時間を延長すること、また過眠症マウスの症状を大幅に改善することを明らかにした。

 ヒスタミンは脳内で覚醒の維持に重要な役割を果たしている。過眠症の一つであるナルコレプシーでは患者の脳脊髄液中ヒスタミン量が低下していることが報告されていた。そこで吉川教授らは、脳内ヒスタミンを分解するHNMTを薬物により阻害し、脳内ヒスタミンを増加させた際に症状が改善するかを調べた。

 まず研究グループは、HNMTの阻害作用があるメトプリンを野生型マウスに投与すると、脳内のヒスタミン量が約2倍に増加し、マウスが長時間起きていることを明らかにした。次にヒトのナルコレプシーと類似した症状を持つ病態モデルマウスにメトプリンを投与し、過眠症状がほぼ完全に消失することを明らかにした。また、メトプリンの効果は欧米でナルコレプシー治療薬として承認されているピトリサントよりも強いことをつかんだ。これらの結果から、HNMTの阻害はナルコレプシーの有効な治療戦略となるため、今後これを標的とした新たな創薬研究の発展が期待される。

なお、同研究成果は24年10月23日公開の睡眠学の国際専門誌「SLEEP」に掲載された。

ニュースリリース参照
https://www.hokudai.ac.jp/news/2024/11/post-1664.html





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