2024年11月19日
阪大、分子の「指紋」で新規DNAタンパク質同定
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:大阪大学

 大阪大学大学院の山元淳平准教授(基礎工学研究科)らの研究グループは19日、核小体構成タンパク質として知られるヌクレオリンが非標準DNA構造の一つであるシトシン四重鎖(i-motif)に結合し、その構造を緩めることを世界で初めて明らかにしたと発表した。
 山元准教授らは今回、タンパク質がDNAに触れた履歴をタンパク質上に残し、その履歴をもつタンパク質を選択的に濃縮した後に質量分析に供する指紋標的濃縮法を開発した。
 この方法によって非標準i-motif構造に結合するタンパク質をヒト細胞中に存在するタンパク質群から網羅的に探索し、候補タンパク質の性質解析を行なったところ、細胞中の核小体に存在するヌクレオリンと呼ばれるタンパク質がi-motif構造に結合し、その構造を緩めることを解明した。
 これにより、非標準DNA構造が生体プロセスを調節する分子機構の解明が期待される。
 同研究成果は、科学誌「Nucleic Acids Research」に、2024年11月19日に公開された。

<用語の解説>
◆非標準DNA :従来DNAは塩基対形成に基づく二重らせん構造を形成するが、二重らせん構造以外の高次構造を形成することがあり、これを非標準DNAという。よく見られる非標準DNAの例として、グアニンおよびシトシンが豊富なDNA配列でそれぞれ形成されるグアニン四重鎖(G-quadruplex, G4)やシトシン四重鎖(intercalated motif, i-motif)が挙げられる。これら非標準DNAはテロメア領域やタンパク質をコードする遺伝子のプロモーター領域など、ゲノムの重要な領域に多く見られ、細胞内プロセスへの関与が注目されている。

ニュースリリース参照
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2024/11/press20241119-01-dna.html