2024年11月21日 |
北大、超流動ヘリウム液滴の運動様式を発見 |
【カテゴリー】:ファインケミカル 【関連企業・団体】:北海道大学 |
北海道大学大学院工学研究院の野村竜司教授らの研究グループは、平らな壁面の下にぶら下がった超流動ヘリウムの液滴(風呂の天井に生じる水滴と同様のもので、懸垂液滴と呼ばれる)を調べ、これまでに知られなかった2種類の運動様式を発見した。 超流動とは、液体ヘリウムを絶対零度近くまで冷却してできる粘性のない状態で、壁の表面に厚さが数十ナノメートルの薄い膜を作ることで知られる。この膜ができることで、超流動ヘリウム液滴が壁面に沿って自由に動くことが今回発見のカギとなった。水滴のような通常液体の場合、壁の小さな凸凹や汚れに引っかかって動かなくなることが多いが、超流動ヘリウムの液滴は何の抵抗もなく動くことができる。 一つ目の運動は、平らな壁面に沿って超流動ヘリウムの懸垂液滴が水平運動し、平面の端に到達すると反射して往復運動するというもので。ボールが2枚の壁の間で衝突を繰り返し、往復するかのような運動をいう。このような水平運動はネーターモードとして予測されてはいたが、現実には存在しないとされてきた。今回、超流動ヘリウムで実現した。 二つ目の運動は懸垂液滴の上下振動。水などは大きな液滴ほどゆっくり振動するとみられていたが、今回、液滴の大きさと関係なく、振動周期が一定である異常な振動を示した。つまり、液滴の最下点が上下方向へ振動すると同時に、液滴の縁が壁面に沿って水平方向に振動しており、この水平運動が異常性の原因と分かった。 同研究成果は11月19日付の「Physical Review Letters」誌(オンライン版)に掲載された。 ニュースリリース参照 https://www.hokudai.ac.jp/news/2024/11/post-1674.html |