2024年11月22日
小惑星リュウグウの砂つぶに塩の結晶発見
【カテゴリー】:ファインケミカル
【関連企業・団体】:京都大学

 京都大学白眉センターの松本徹特定助教らは21日、日本の探査機「はやぶさ2」が回収した小惑星リュウグウの砂つぶから、微小な塩の結晶を発見したと発表した。これらはリュウグウの母体となる天体を満たした塩水が蒸発や凍結によって失われた時に析出した鉱物で、同じく塩類が見つかっているエンセラダスなどの海洋天体とリュウグウの水の環境とを比較する研究につながる。
 リュウグウの砂つぶを電子顕微鏡などで観察した結果、ナトリウム炭酸塩、岩塩、硫酸塩を含む塩の結晶が発見された。
 ナトリウム炭酸塩や岩塩は、木星の衛星エウロパや土星の衛星エンセラダスなど内部に海をもつ天体の表層にも、海の成分の析出物として見つかっている。塩の結晶はリュウグウとこれらの海洋天体の水の成分や進化を比較できる新しい手がかりになると期待される。
 塩結晶はリュウグウの母天体を流れた塩水が蒸発したか凍結した際に成長したと考えられる。現在のリュウグウは液体で満たされておらず、どのように母天体から液体が失われたのかはこれまで謎だった。塩の結晶は、液体の水が消えていった道筋を示した初めての証拠でもあるとしている。